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③大切なことに向き合う。つもりが、ただの身の上話になった。

前回、
「子どもの将来なんて、くだらないこと」
みたいなことを書きました。
さすがに誤解されそうなので、少し補足しておきます。
親が子どもの人生を生きるわけではないのだから、必要以上に先回りして心配すること自体、くだらないことなのかもしれない。
という話です。
ああ、そうか。
そもそも人生って、くだらないことに一生懸命向き合いながら終わっていくゲームなんだった。
だったら仕方ないか。
だから私も、子どもに「学校行け!」って怒鳴っていたわけですね。
結局、自分も同じことをしていたんだな。
そんなところで前回は終わりました。
じゃあ、本当に大切なことって何だろう?
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一番大切なのは、自分自身じゃないのか?
いろいろ考えてみましたが、やはり一番に思いつくのは自分自身のことです。
自分の人生。
自分の健康。
自分の精神。
結局、これが一番大事なんじゃないでしょうか。
家族も仕事もお金も、もちろん大切です。
でも、自分自身が健康で、精神的にもまともな状態でなければ、何をするにも始まらない。
では、
皆さん、自分自身のことを本当に大切にして、真剣に向き合って生きていますか?
私はどうだろう。
そんなことを考えていたら、昔の自分を思い出しました。
11年間、ごく普通の会社員でした
私は新卒から11年間、会社員として働いていました。
どこにでもいる普通のサラリーマンです。
一応、業界トップの企業に勤めていたので、それなりに厳しい環境でした。
若い頃はヒーヒー言いながら、社会の荒波に揉まれていました。
それでも年次を重ねるにつれて仕事にも慣れ、徐々に脂が乗ってきます。
そのうち、目をつぶっていてもそつなく仕事をこなせるくらい、組織の中にどっぷり溶け込んでいました。
新入社員の頃は、
「こんな会社、3年で転職してやる!」
なんて息巻いていたんですけどね。
そこそこのハードワークだったこともあり、転職活動をする気力すら失っていきました。
気づけば11年。
まあ、そんなもんですよね。
特に大きな不満があるわけでもない。
給料もそこそこもらえる。
仕事もそれなりにできる。
上司や同僚からの信頼もあり、表彰されることある。
このまま働いていれば、それなりの人生を送れるんだろう。
そんな感じでした。
ところが、30歳前後から、少しずつ私を取り巻く環境が変わっていきます。
父親の死で、自分の人生が怖くなった
まず、父親が亡くなりました。
肺がんを患い、5〜6年ほど闘病生活を送っていました。
入院生活や、病気によって弱っていく姿。
そして、最期を迎えるまでを目の当たりにしました。
そのとき、ふと思ったんです。
「俺、このままだと親父の歳になる前に死ぬな」
実は私、中学1年生くらいからタバコに手を出していました。
それまで健康のことなんて、ろくに考えたこともありません。
若い頃なんて、自分が病気になるとか、死ぬとか、そんなことはどこか他人事だったんですよね。
でも、目の前で父親が亡くなった。
急に自分のことが怖くなりました。
いやいや、まだ死ねないだろ。
もっと健康でいないと。
生活習慣を改めよう。
まずはタバコをやめよう。
そして運動しよう。
そういえば最近ちょっと太ってきたし、ダイエットにもなるな。
そんな、ごく普通の動機でした。
31歳、なんとなくボクシングジムに入会
そこで始めたのがボクシングです。
31歳のときでした。
「なぜボクシングだったんですか?」
と、たまに聞かれることがあります。
別に映画に影響されたわけでもなければ、昔からプロボクサーに憧れていたわけでもありません。
Googleマップで近所のジムを調べていたら、下北沢にある金子ボクシングジムが出てきたんです。
自転車で行ける距離。
それだけです。
普通のフィットネスジムは、どうせ続かないだろうし、あまり楽しくなさそう。
ボクシングだったら面白いかもな。
その程度の理由です。
まさか、これが人生を大きく変えるきっかけになるとは、当時は思ってもいませんでした。
30歳を過ぎて始まった「大人の部活」
もともと私は、運動が苦手な方ではありませんでした。
子どもの頃はサッカーや野球をやっていましたし、少し練習すれば周りより上手にできるタイプでした。
ただ、特別な努力をしてきたかというと、そんなこともありません。自分の運動神経にあぐらをかいていた。みたいな奴でした。
中学2年生のときには、ふざけすぎて野球部の顧問に退部させられました。
それ以来、まともに運動もしていません。
そんな私が、30歳を過ぎて久しぶりに本気でスポーツに取り組むことになったわけです。
これが、めちゃくちゃ楽しかった。
まさに、大人の部活!
という感じでした。
通っていた金子ジムはプロボクシングジムです。
普段からプロ選手が練習していて、そのすぐ横で一緒に汗を流せる。
そんな環境は、私にとってはすごく刺激的で仕方がありませんでした。
私が入門当時からチャンピオンだった大竹秀典選手。
そして、少し後にチャンピオンになった細川チャーリー忍選手。
特にこの二人は、いつも背中を追いかけていた存在でした。
最初は週に1〜2回、練習するだけでも精いっぱい。
それが徐々に体力もついてきて、週3回、週4回と増えていきました。
気づけば、仕事が終わると必ずジムに寄ってから帰宅する生活になっていました。
会社は遅くとも19:15に退社してジムに行く毎日。
忙しい時は朝残業してでも19:15は絶対。
家→会社→ジム→家の地理的にも三角だったので何も迷うことはありませんでした。
最初は健康のため。
ダイエットのため。
そんな理由だったはずなのに、いつの間にか目的が変わっていたんです。
あの先輩みたいに強くなりたい。
自分より少し上手なあいつより、もっと上手になりたい。
ただただ、それだけ。
仕事が終わって疲れているはずなのに、ジムに行くのが楽しみで仕方ありませんでした。
33歳、まさかのプロボクサーに
そんな生活を2年弱続けていた頃、ある転機が訪れました。
同じくらいの時期に入門したジムメイトが、突然こんなことを言ってきたんです。
「俺、プロテスト受けることになった」
は?
プロテスト?
お前が?
いやいや、ちょっと待て。
こいつ、俺と同じくらいの実力じゃないか。
なんなら俺より弱いだろ。
「お前が受けるなら、俺も受けるわ!会長に言ってくるわ!」
そんなノリです。
そのまま会長に相談して、私もプロテストを受けることになりました。
そして、合格。
33歳にしてプロボクサーになってしまったわけです。
もちろん、この歳から世界チャンピオンになってやる! なんて大それた野望があったわけではありません。
周りに流されて、勢いで受けただけです。
ただ、この2年間で身につけたものは、プロライセンスだけではありませんでした。
それまでの自分とは比べものにならないほど、肉体も精神力も強くなっていたんです。
ボクシングで一番変わったのは精神力だった
これは、自分でもはっきり自覚している変化です。
会社員時代、私は人前で話すのがあまり得意ではありませんでした。
特にプレゼンや、大勢の人に向けて説明する仕事。
これが本当に嫌だった。
毎回緊張するし、ウケなかったらどうしようと考えてしまう。
ところが、ボクシングを始めてから、いつの間にか緊張しなくなったんです。
理由は、たぶんスパーリングです。
特に強い人とのスパーリング。
あれは本当に怖かった。
下手したら殺されるんじゃないか。
そんな恐怖を感じながら、何度もリングに上がっていました。
そんな経験を何度も繰り返しているうちに、会社でプレゼンをするときの緊張が、いつの間にか消えていました。
だって、考えてみてくださいよ。
大勢の人の前で変になっても、別に殴られるわけじゃない。
ましてや殺されるわけでもない。
あのスパーリング前の恐怖に比べたら、
プレゼンで少しくらい失敗することなんて、屁でもない。
本当に、自然とそう思えるようになったんです。
別にメンタルトレーニングを受けたわけでも、自己啓発本を読んだわけでもありません。
ただ、毎日ボクシングをしていただけ。
それだけで、仕事に対する考え方まで変わっていました。
身体を鍛えていたつもりが、知らないうちに精神力まで鍛えられていたんですね。
プロなら、これで飯を食わないと
そんなこんなで取得したプロボクサーのライセンス。
ライセンスを手にしたとき、なぜか変なことを考えてしまいました。
「プロなら、これで飯を食わないとな」
いやいや。
33歳ですよ。
今さら試合をして、ファイトマネーだけで生活できるわけがありません。
そんなことは自分でもわかっています。
でも、せっかくプロになったんだから、何か仕事にできないだろうか。
試合をする以外にも、ボクシングを商売にする方法があるんじゃないか。
あれ?
ボクシングジムやればいいんじゃね?
そう思いついてしまったんです。
これが、ゴーパンダジムの始まりです。
2018年12月にプロテストに合格しました。
そして、年が明けた2019年。
1月最初の出社日に、上司に退職したいと伝えました。
11年間勤めた会社を、辞めることにしたわけです。
それから3月末に退職。
そして、5月下旬。
ゴーパンダジム高円寺店をオープンしました。
健康になりたくて始めたボクシング。
自転車で行ける距離にあったから、なんとなく入会したボクシングジム。
気づけばプロボクサーになっていて、会社まで辞めていました。
人生って、何が起こるかわからないものですね。
あれ? 何の話をしてたんだっけ?
さて。
今回は「大切なことに真剣に向き合う」という、なかなか壮大なテーマについて書くつもりでした。
自分の人生。自分の肉体と精神の健康。
本当に大事なことは何なのか。
そんな話の核心を突きたかったわけです。
ところが、気づけば会社員時代からボクシングを始めて、ジムを開業するまでの身の上話になってしまいました。
おかしいな。
全然違う方向に着地してしまった。
ただ、こうして振り返ってみると、一つだけ思うことがあります。
健康になりたいと思って始めたボクシングが、身体だけでなく精神まで変えて、最終的には仕事も人生も変えてしまった。
あのとき、自分の健康を真剣に考えなければ、今の私はいなかったのかもしれません。
そう考えると、やっぱり自分自身と向き合うことって、大切なんでしょうね。
……なんて、ちょっといい話にまとめようとしていますが、まだまだ書きたいことはあります。
次回こそ、「大切なことに真剣に向き合う」という話の核心を突いてみたいと思います。
次回はド派手なやつ行きます。
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